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TIME VASE 先行体験会 in 佐賀県有田町

パイロット社の新規事業「PILABOT」からリリースされた『TIME VASE』に、HiKEIは香りのディレクションとして関わりました。

Photo credit @nakashimashi1988

「時を飾る器」というコンセプトに合わせ、共に使っていただくためのオリジナルフレグランスオイル「Deep Breath」を制作し、先日、その生産地である佐賀県有田町で行われた展示体験会とトークイベントに参加してきました。

正直に言うと、いわゆる「伝統」や「技術」だったり、「SDGs」や「オーガニック」といった言葉を掲げたプロジェクトは、それっぽい文脈を並べるだけでいくらでも語れてしまうし、最近、世の中にはそうした言葉の響きを表面上でなぞっただけの商売も多くなっていると感じます。

そんな自分が今回有田に行って強く感じたのは、違う場所、立場、分野にいる人たちが誠実な姿勢で一つのモノを囲むと、こころに何かが「勝手」に灯る感覚があったことでした。

Photo credit @seitaroiki

制作の打ち合わせでも聞いた話だったのですが、パイロットのこのインクの技術はほとんどの人が一度は触れているはずなのに、普段はほとんど意識されていません。(消えるボールペンや髪色が変わるお人形メルちゃ○とか、温度で色が変わるあの感じです)

それが有田焼の上に塗布され、お湯の蒸気による温度変化によって色が変わっていくのを見つめていく中で、急に「これって一体何なんだろう?」って考え始める。たぶんこれは、技術がすごいとか、伝統がすごいとか、そういう話だけはなくて、文脈が変わることで、人のモノの見方が「勝手」に変わるということなんだと思っています。

実際の展示やトークの時間でも、立場もバラバラな人たちがTIME VASEを通して、有田のこれからや自分の仕事などをそれぞれが自然に考え、対話を面白がっている姿が印象的でした。

Photo credit @seitaroiki

そこで改めて思ったのは、知らない場所に行くとか、現場に立つとか、その行為自体に価値があるわけではないということ。そこで何を見て、何を聞いて、どう考えたかまで含めて、はじめて「意味」が立ち上がるのだと思いました。

ただ触れて「良かった」で終わるなら、それは消費に近い。そこから一歩踏み込んで、向き合い、自分の中で何かが変わったとき、それははじめて「体験」になり価値になっていく。

現代は、便利に整理されすぎていて、わざわざ考えなくても、何も知らなくても、物事がスムーズに成立してしまいます。効率化という名のもとに「無駄」とされたものは、次々と排除されていく。

けれど、実はその無駄だと思われていたものこそが、自分たちの頭で考えるための「余白」であり、人生を愉しむための本質だったのではないか。そんな気がしています。

HiKEIとしてやりたいことは、自分が今ここで記しているような「勝手に考えてしまう状況」をつくること、そしてこの考え続ける姿勢を続けることです。
ものをきっかけに、背景を想像して、誰かに用意された答えじゃなくて、自分で選ぶ。TIME VASEプロジェクトへの参加は、この感覚をかなりはっきり掴めた機会となりました。

HiKEI 久川誠太朗(MAKO)

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